将棋の駒の読み方完全ガイド!表裏の正式名称と動かし方を徹底解説
日本古来の伝統頭脳ゲームであり、プロ棋士の熱戦やデジタル対局プラットフォームの普及によって幅広い世代から再評価されている将棋。いざ盤と駒を前にして指してみようとした際、多くの初心者が最初に戸惑うのが「漢字の読み方」や「裏面に書かれた崩し字の正体」です。
「王」「飛」「角」「金」「銀」「桂」「香」「歩」という基本の駒はもちろん、敵陣に入ってパワーアップした「成り駒」の正式名称や、裏面の草書体の判読は、ルールを覚える第一歩となります。本稿では、全40枚の駒の読み方や動かし方の基本、歴史的背景、そして初心者が盤上で迷わないための実践的な知識を、取材データと専門的な視点から体系的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:将棋の駒は全8種類・計40枚で構成され、表と裏で名前や動きが劇的に変化する「成り」の仕組みを持つ。
- 要点2:「竜馬(りゅうま/りょうま)」や「と金(ときん)」など、裏面の成り駒には固有の正式名称と歴史的な文字の由来が存在する。
- 要点3:「王将」と「玉将」の格付けルールや大橋流・伊藤流の並べ方など、正しい基礎知識を押さえることで対局の理解度が飛躍的に高まる。
【一覧表で完全網羅】将棋の駒の種類・全8種と基本の読み方・枚数内訳
本将棋で使用される駒は、自分と相手それぞれ20枚ずつの合計40枚です。駒の種類は基本的に8種類に分かれており、それぞれに固有の役割と可動範囲が割り振られています。
まずは、将棋盤に配置される全種類の駒について、表面の名称、一般的な読み方、裏面の成り駒表記、および対局における実戦的な特徴を一覧表で整理しました。
| 駒の表記(表面) | 正式名称と読み方 | 枚数(全体/各自) | 裏面の表記と読み方(成り駒) |
|---|---|---|---|
| 王将/玉将 | おうしょう/ぎょくしょう | 計2枚(各1枚) | なし(成ることはできない) |
| 飛車 | ひしゃ | 計2枚(各1枚) | 竜王(りゅうおう) ※略称:竜 |
| 角行 | かくぎょう ※略称:かく | 計2枚(各1枚) | 竜馬(りゅうま/りょうま) ※略称:馬 |
| 金将 | きんしょう ※略称:きん | 計4枚(各2枚) | なし(成ることはできない) |
| 銀将 | ぎんしょう ※略称:ぎん | 計4枚(各2枚) | 成銀(なりぎん) ※崩し文字 |
| 桂馬 | けいま ※略称:けい | 計4枚(各2枚) | 成桂(なりけい) ※崩し文字 |
| 香車 | きょうしゃ ※略称:きょう | 計4枚(各2枚) | 成香(なりきょう) ※崩し文字 |
| 歩兵 | ふひょう ※略称:ふ | 計18枚(各9枚) | と金(ときん) ※ひらがなの「と」に類似 |
盤上に並ぶ全40枚のうち、実に18枚(全体の45%)を「歩兵」が占めています。飛車と角行は「大駒(おおごま)」と呼ばれ、遠くまで利く強力な攻撃力を持ちます。金将、銀将、桂馬、香車、歩兵は「小駒(こごま)」と総称され、これらを連携させて陣形を構築し、敵陣を攻略していくのが基本構造です。

【裏面の謎を解く】成り駒の読み方と正式名称|崩し字の識別法
初心者が最も困惑するのが、敵陣の3段目以内に入った際に駒を裏返してパワーアップさせる「成り(なり)」のシステムと、裏面に書かれた文字の読み方です。
木製の高級駒や伝統的な彫駒では、裏面の文字が草書体や行書体で極度に崩して書かれているため、初見では解読が困難なケースが珍しくありません。
裏面に書かれた「成り駒」の正式名称一覧
- 飛車の裏:「竜王(りゅうおう)」※単に「竜(りゅう)」とも呼ぶ
- 角行の裏:「竜馬(りゅうま/りょうま)」※単に「馬(うま)」とも呼ぶ
- 銀将の裏:「成銀(なりぎん)」※文字は「金」を崩した書体
- 桂馬の裏:「成桂(なりけい)」※文字は「金」の異体字・草書体
- 香車の裏:「成香(なりきょう)」※文字は「金」の異体字・草書体
- 歩兵の裏:「と金(ときん)」※ひらがなの「と」または「今」の草書体
ここで特筆すべきは、銀将・桂馬・香車・歩兵の4種類は、成るとすべて「金将と同じ動き」に変化するというルール上の共通点です。
そのため、伝統的な駒では「成銀」「成桂」「成香」の裏面には、いずれも「金」という漢字の草書体(崩し文字)が微妙に筆跡を変えて彫られています。初心者が「裏面がどれも『金』のような記号に見えて区別がつかない」と感じるのは、書体芸術としての歴史的背景と、ルール上の機能統一が合致しているためです。
「と金」の読み方と名前の由来
歩兵が成った「と金(ときん)」の文字の由来には、歴史的・文献的にいくつかの有力な説が存在します。
- 「歩」の略字説:「歩」の文字の上半分である「止」が崩れて「と」になったとする説。
- ひらがなの「と」説:「金」の価値に届くという意味の「届く」、あるいは「富(とみ)」の頭文字から取られたとする説。
- 「今」の草書体説:「金」とほぼ同等の価値を持つものとして、「金」に似た「今(きん・こん)」の草書体が定着したとする文献的見解。
実際の対局現場や中継解説では「と金を作って攻める」「敵のと金を払う」といった形で日常的に用いられる重要用語です。
【格付けと歴史の真相】王将と玉将の違い|どちらを持つべきかの作法
将棋セットを開けると、もっとも位の高い駒として「王将」と「玉将」が1枚ずつ入っています。文字通り「点(・)があるかないか」の違いですが、この2つの駒の扱いには明確な歴史と礼儀作法(マナー)が規定されています。
歴史的な事実として、平安時代から室町時代にかけての原始将棋においては「玉将(宝玉・宝石を意味する)」が本来の標準的な駒名でした。豊臣秀吉の時代、あるいは江戸時代の将棋家元制度の確立期にかけて、最高権力者を象徴する「王将」の文字が用いられるようになったと記録されています。
| 駒の種類 | 使うべき対象(席次・格付け) | 駒の配置位置(対局開始時) |
|---|---|---|
| 王将(点なし) | 上位者(段位が上の者、棋力上位者、年長者、タイトル保持者) | 上座(床の間側、奥側の席) |
| 玉将(点あり) | 下位者(段位が下の者、後輩、挑戦者、先手・後手を問わず) | 下座(入り口側、手前側の席) |
日本将棋連盟の公式戦や道場での対局では、段位の高い棋士や前年度勝者が上座に座り「王将」を使用します。駒を並べる際、下位者が先に「玉将」を自陣の中央(五段目の下、5九の位置)に据えるのが伝統的な作法です。
なお、駒の性能や動かし方において王将と玉将に差異は一切ありません。どちらも「周囲8方向(縦・横・斜め)すべてに1マス動ける」という同一の機能を持っています。

【初心者でも迷わない】主要駒の動かし方と将棋ルールの基本
将棋のルールをわかりやすく理解するためには、駒の動かし方を「全方位型」「直線型」「飛び道具型」の3つのカテゴリーに分けて整理するのが効率的です。
大駒:飛車・角行の機動力
飛車(ひしゃ):縦と横の直線方向なら遮る駒がない限り何マスでも進める。
竜王(成った飛車):飛車の動きに加え、斜め4方向に1マス動ける。
角行(かくぎょう):斜めの4方向なら遮る駒がない限り何マスでも進める。
竜馬(成った角行):角行の動きに加え、縦横4方向に1マス動ける。
小駒:金将・銀将・歩兵・香車・桂馬
金将(きんしょう):前後左右+斜め前の計6方向に1マス。
銀将(ぎんしょう):前+斜め4方向の計5方向に1マス。
桂馬(けいま):前2マスの左右斜めへジャンプ(唯一他の駒を飛び越せる)。
香車(きょうしゃ):前方の一方向のみ何マスでも進める(猪突猛進)。
歩兵(ふひょう):前方に1マスのみ進める。
相手の駒がいるマスに自分の駒を進めると、その駒を「持ち駒(もちごま)」として獲得できます。獲得した持ち駒は、自分の手番であれば盤上の空いている任意のマスにいつでも再配置(「打つ」)できる点が、チェスなど他のボードゲームにはない日本将棋最大の魅力であり独自ルールです。
【実態検証】盤上の配置で迷う初心者のリアルな声と正しい並べ方
日本将棋連盟の普及指導員や子ども将棋教室の現場講師からの報告によると、将棋初心者が盤面を前にして最もつまずきやすいのが「駒の初期配置の順番」と「似た駒の配置間違い」です。
SNSや知恵袋等のコミュニティでも、「香車と桂馬の左右位置を毎回忘れる」「銀将と金将の配置が逆になってしまう」「草書体で書かれた裏面の文字が読めず、相手の成駒が何かわからない」といった相談が日常的に投稿されています。
初心者必見:将棋の駒の並べ方(作法と配置手順)
将棋の駒の並べ方には、江戸時代の家元に由来する「大橋流(おおはしりゅう)」と「伊藤流(いとうりゅう)」という2大作法が存在します。初心者は最も普及している「大橋流」の手順を覚えるのが確実です。
- 自陣の中央(5九)に王将(または玉将)を据える。
- 王の左隣に左金、右隣に右金を配置する。
- 金の外側に左銀、右銀を配置する。
- 銀の外側に左桂、右桂を配置する。
- 盤の両端(1九・9九)に左香、右香を配置する(これで最下段が完成)。
- 2段目の左側(8八)に角行、右側(2八)に飛車を配置する。
- 3段目に中央(5七)から左右均等に歩兵(9枚)を並べる。
大橋流は「中央から左右へ対称に広げていく」並べ方であるため、配置ミスを視覚的に防ぐ心理的効果があります。「端の香車、その内側にジャンプする桂馬、王を守る銀と金」という物理的な配置関係を身体で覚えることが、初期配置のミスを無くす最短ルートです。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
将棋の駒の名称やルールに関しては、インターネット上や入門書の間で一部の誤解や混同が散見されます。正しい知識として以下の3点を押さえておきましょう。
盲点1:「竜馬」の読み方は「りゅうま」か「りょうま」か
坂本龍馬の影響から「りょうま」と読まれることが一般的ですが、日本将棋連盟の用語規程や古文書の観例では「りゅうま」「りょうま」「りゅうめ」のいずれも間違いではありません。公式戦中継の聞き手や解説者の間でも「うま」と略称で呼ばれることがほとんどです。
盲点2:「成り」は強制ではなく選択できる(一部の例外を除く)
敵陣3段目に入った際、駒を成るかどうかは原則としてプレイヤーが自由に選択(「不成(ならず)」)できます。ただし、「最奥段(1段目)に進んだ歩・香・桂」や「2段目に進んだ桂馬」のように、成らないとそれ以上進むマスが存在しなくなる場合は強制的に成らなければならないという厳格な反則規定が存在します。
盲点3:駒の裏面の文字が赤い理由
普及用のプラスチック駒やスタンプ駒では、裏面の文字が「朱色(赤色)」で印刷されています。これは初心者が成駒であることを一目で視認できるように施された近代の工夫です。伝統工芸品である高級彫駒(黄楊駒など)では、裏面も表面と同じ漆黒の墨で彫られており、文字の崩し具合だけで成駒を判別します。
【プロの結論】初心者が覚えるべき優先順位と挫折を防ぐ判断基準
認知科学および学習心理学の視点から見ると、大人の学び直しや子どもの習い事において将棋で挫折する最大の原因は、「全40枚の漢字・裏面の崩し字・8種類の動き」を一挙に暗記しようとして生じる認知負荷の過多にあります。
これから将棋をスムーズにマスターしたい方は、以下の判断基準とロードマップに従って段階的に導入することをおすすめします。
- ステップ1(視覚情報の簡略化):まずは裏面に矢印や動かし方がプリントされた「スタディ将棋」や「一字彫り駒(王・飛・歩などの単文字)」を使用し、漢字表記への抵抗をなくす。
- ステップ2(動かし方の優先習得):「歩」「金」「銀」の接近戦の動きをマスターし、その後に「飛車」「角行」の遠隔射程を把握する。
- ステップ3(正式名称の定着):実戦アプリや盤上対局を通じて「と金」「竜」「馬」の成り駒の威力を体感し、自然と呼び名を一致させる。
【将棋 駒 読み方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:将棋の駒の「歩兵」はなんと読むのが一般的ですか?「ほへい」ですか?
A1:正式名称は「ふひょう」と読みます。対局中や解説の場では、単に略して「ふ」と呼ばれることがほとんどです。「ほへい」と読むのは間違いですので注意してください。
Q2:裏返したときに「金」としか書いていないように見える駒はどう見分ければいいですか?
A2:銀将・桂馬・香車の裏面はいずれも「金」の草書体が書かれていますが、駒自体のサイズ(銀>桂>香)や筆跡の崩し方で区別します。また、もともとどのマスから進んできた駒かを把握していれば迷うことはありません。初心者用の駒では「成銀」「成桂」と明確に彫られているものも多く流通しています。
Q3:なぜ「角行」は裏返すと「馬(竜馬)」になるのですか?
A3:古代中国の伝説や将棋の歴史において、天を翔ける「竜(竜王)」と、地上を駆ける俊足の「名馬(竜馬)」を一対の強大な霊獣・戦力として見立てたことに由来します。最強の攻撃力を持つ飛車が「竜」となり、鋭い斜めの射程を持つ角が「馬」となってパワーアップします。
Q4:王将を取られたら負けですか?
A4:厳密な将棋のルールでは、王将を実際に物理的に盤上から取る前に、次にどう逃げても王将が取られてしまう状態(「詰み(つみ)」)が成立した時点で勝敗が決します。また、自分の王が助からないと悟った段階で「負けました」と発声して投了(とうりょう)するのが正式なルールです。
まとめ:正しい読み方と知識を身につけて将棋の奥深い世界を楽しもう
将棋の駒に刻まれた文字と読み方は、単なるゲームの識別記号にとどまらず、数百年にわたる日本の伝統文化、書体芸術、そして武士道精神の歴史が凝縮されたものです。
「歩(ふ)」が敵陣深くに入り込んで「と金」へと化け、強大な大駒を圧倒する爽快感や、「王将」と「玉将」に込められた敬意の作法を理解することは、盤上の勝負をより知的で奥深い体験へと昇華させてくれます。
基本となる8種類の駒の名前と成り駒の正式名称、そして無理のない配置手順さえ一度身につけてしまえば、リアルな対局はもちろん、プロ棋士の対局観戦やニュース解説も何倍も面白く感じられるはずです。ぜひ本稿の一覧表を参考に、将棋盤の前に座って最初の一歩を踏み出してみてください。 (出典: 将棋 駒 読み方(Yahoo!ニュース))